ぼくは今回の参院選の結果も自民党が議席を減らすだろうが、極端に減ることは無く公明党と併せれば過半数を維持するのではと思っていた。その根拠は分析した結果というより今までの経験則からだ。それだけなんだかんだと言いながら自民党は強かった。でも結果は与党が過半数を予想以上に割ることになった。
その結果を受けて、ぼくって、世の中の雰囲気とか流れに疎いんじゃないかと思ってしまった。と、共に、これは思っている以上に、各方面で現状に不満があるんだろうとも思った。
たとえば、いわゆる正規雇用じゃない人達の現状に対する不満が投票行動に現れたりとか。どんな仕事につくか、あるいはその仕事でどれだけ稼げるかは、確かに自己責任、自己の努力次第ということが大きい要素だろう。でも政治、つまりは法律、きまりごとでコントロールできることってのも確実にある。
企業としての世界的な競争力を維持する為にも、主に雇用に関して、企業に裁量の余地を多く与えること。これなどもここ数年、規制を緩和したことではあるまいか?その結果、多くの企業が人件費を抑制する方向に舵を切るのは、残念ながらこれは自然だろうなあと思う。
仕事はそこにある。だけどその仕事に掛かる人件費は抑えたい。だから外注、そして実際に仕事をしている企業と雇われ先が違うってことが起きる。それでも仕事から得られる報酬や待遇が保険や年金も含めて真っ当なら不満も起きないだろうが、もはやその域を大きく外れつつあるのかもしれない。あるいは少なくとも不安が増大しつつあるのじゃないだろうか。
こういうことってバランスだと思う。どちらに転んでもベストって無いと思う。でもそろそろ何処かで規制というか、やり方を見つめ直さないとどうも居心地が悪いと思う層が増えているんだろう。
まあ、そんなことを思っていたのだが、先日 JMM のメールマガジンで、今回の参院選の結果を受けて村上龍氏の下記のような記述を読んだ。
間違いないのは、これまで自民党がイデオロギーではなく利益供与で多くの国民の支持を得ていたという事実が明らかになったということでしょう。自民党の理念(実際にそんなものがあるかどうかは別にして)に共鳴していたわけではなく、補助金や公共事業などではっきりとした利益を得ていた層が離反したというのが最大の敗因であると思われます。
なるほどなあ。ぼくの思ったことも要素の一つではあるのかもしれないが、この村上龍氏の言説の方がピッタリ来ていると思う。と言うか、これがやはり最大の敗因だわ。実際、小泉さん以降相当補助金やら公共事業というのは減っているもんな。
だとしたらそういう空気を安倍首相は読めなかったのだろうか?そいつが不思議だ。ぼくは補助金やら公共事業ありきで利益を得るというのはどうもなあと思う。まあ、そうは言っても大都会と違って限られた産業しかない地方にとっては、じゃあ何があるんだと言いたくもなるかもしれない。
だから本来なら、長年自民党を支持していたそういう層に『時代は変わった。だけどこういう道筋がある。』そういう投げ掛けが必要だったんだろう。言い方が悪いが嘘でもそういう言葉が必要だったんだろうと思う。
それが『美しい国』じゃあ、やっぱり説得力無かったんだろうなあ。少なくとも前述の層には響かなかった。だけどそんな具体的な施策を心に響く言葉で表現できる政治家あるいは政党があるだろうか?まあ事細かにマニフェストなり政治家の書いた書籍を読んだ訳ではないので、あまり声高に言うべきじゃないけれど、やはり残念ながら無いんじゃないかと思う。
残念ながらか?果たして残念なんだろうか?そもそも一人の政治家、いや一人でなくてもいいけど、その人達におんぶに抱っこの時代じゃないのかもしれない。かと言ってシステムも、そしておそらく我々国民の多くの人達の感覚も、昔の高度経済成長期の面影を引きずっているのかもしれない。だけど時代の変化は待ってはくれないよな。政治や行政などのシステムも変わる必要はあるが、何より我々の感覚自体も変わる必要があるのだろう。さて今回の選挙結果はそんな変化の兆しを含んでいるんだろうか?
