ここ何年もテレビゲーム(ひょっとしてこの言葉自体がもう死語なのか?)をしていない。だから最近のゲームを取り巻く状況というのには全く疎い。でもネットを彷徨っていると、ガジェット系の情報として、マイクロソフトの360やらNintendo WiiやらPS3のことを目にすることが多い。大抵は流し読みだし、実際にどんなゲームが面白いのか?全く実感がない。そんな人間にも、NB online(日経ビジネスオンライン)で読んだ【久夛良木氏を見放したソニーの迷走】というコラムは興味深く読ませてもらった。
ソニーが5,000億円もの巨費を投じて開発してきた【cell】という半導体は、ゲーム機としての認識が強いPS3のみならず、デジタル家電にも積極的に搭載し、いずれはマイクロソフトとインテルの【ウィンテル支配】から脱却し、ソニーグループが次世代の覇権を握る礎となる存在として開発した筈と著者は言う。なのにソニー自身が、どうもPS3をゲーム機の範囲に押し込めてしまったのではないかとのこと。ソニーとSCEの間に溝があり、家庭用コンピュータという新手のジャンルを築ける絶好のハードなのに、マーケティング戦略的なソニーの後方支援も無いということらしい。著者は一体ソニーは何を考えているのかと訝っているようだ。5,000億円もの投資をゲーム機としてのPS3だけで回収するのは至難の業だと著者は言う。
なるほどそう言えばPS3の開発の話しが出だした頃、元々はMacに使われていたPower PCの製造元であるIBMが開発の中心のプロセッサであり、なんだか高機能なプロセッサであるとの情報を見聞きしたことがある。Mac OSがPS3で走ったとか、どうたらこうたら。そういう技術系のことには弱いので詳しいことは判らないが、ゲーム機も最早パソコンを凌駕するのかと、思ったりした。
でも今回発売開始された時点では、やはり一般的にはソニーが新しいゲーム機を出した。そんな認識だろう。少なくともハードに詳しくない人間には、PS3の価格はゲーム機としては高過ぎるとは思っても、それがハード自体の潜在能力に較べて破格値であるとは全く思わないだろう。辛うじて、ゲーム機にそれ程の興味が無くても、ネットでガジェット系やIT系の情報を得ている人間には、情報として『高機能なハードなんだ。』との認識は持つかもしれないし、また周りにゲーム機に詳しい人間が居れば、口コミで凄いハードなんだぐらいは思うかもしれないが、子供にせがまれて、いわゆるゲーム機として購入してやるには、やはり二の足を踏まれるだろう。
だとするとこのコラムの著者の言うように、一般に訴求するようなビジョンなりマーケティングの仕掛けがあって然るべきだと思う。これは高機能なゲーム機なんだと言われるより、コイツを一家に一台持てば、こんなこともできる、あんなこともできるとなった方が購買意欲が沸くに決っている。でもソニー側からはそれらしい仕掛けは無い。
思いだしてみればPS2の時もそうだったよなと思う。ぼくは二年前に短期間だが、電器量販店でソニーのテレビを販売するバイトをしたことがある。当時はテレビに詳しいわけでは無く、それでも派遣員として雇われるんだから、『ええんか?』とこちらが思ったぐらいなのだが、それでもそれからは結構テレビのことについて情報を漁った。だって何にも知らなきゃ売れないですよね。その頃からHD搭載の録画機が普及しだしたのだが、当時既にソニーにはPS2があったのだ。容量は少なかったと思うがPS2には外付けHDを接続できたと思う。そしてそのHDもソニーとして販売していた。でもメーカー側からそのことに対する情報は一切無かった。実際、ぼくもお客さんの方からPS2をその様に使いたいのだがと提案されて、そんなことができるのかと思ったぐらいだ。
メーカーとしては余り推奨される使い方では無かったのだろうか?それでもPS2ならDVDプレーヤーとしては十分に用をなすだろう。そういう組み合わせ販売だって、上手くすればテレビとの相乗効果があるのにと思った記憶がある。メーカー側(販社だが)の担当部署が違うというのもあるのだろう。おそらく全社的に取り組まないと部署ごとには判断できないことだと思うし、まあ効果も少ないのだろう。
しかし今回のPS3、【cell】の開発に巨額の投資をし、それが今後の大きなビジョンに係わっているのなら、もはやPS2とは較べるべきも無いほどPS3の販売とは重要なのではないのだろうか?ほんと、どういうことなんだろう?ソニーは5,000億円の投資なんて大したことが無いとの認識なんだろうか?それともまだまだこれから次から次と仕掛けが出てくるんだろうか?
どうやらネット上で早くもPS3を手に入れた人達の情報を読む限り、なかなかに良くできたハードだとの感覚を持った。この時期に手に入れようという人達は、やはりゲームが好きな人達であったり、またガジェット好きな人達に違いない。そんな早期購買者がゲーム機以上の、あるいは以外の面白い使い方や便利な使い方を見つけ出し、その評判が口コミとなって、逆にソニーをその気にさせるということも起こり得るのだろうか?
何だか、従来だったら今回のコラムの著書の言うように、ソニーが全社を上げてビジョンを練り、それに沿ったマーケティングを仕掛けて行くというのが妥当だと思う。それに、ちょっとソニーグループというのはバラバラに成ってしまっているのではとも思う。でも一方で、もし製品が本当に良ければ、ネットが当り前に成りつつある昨今では、口コミも含めての情報の伝搬というのが、使う側の方から何か新しい提案なりを生み出すことだってあるんじゃないかと思ってみたりする。もっとも、そういう提案なり動きを機を見て捕らえられるかどうかは、ソニー側の問題だが。


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