【風の歌を聴け】再読

4062748703風の歌を聴け
村上 春樹
講談社 2004-09-15

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村上春樹の【風の歌を聴け】を読み直した。今年の3月頃【風のまにまに号】の youthkeeさんの、その名も【風の歌を聴け】というブックレヴュー記事を読んで『なるほどそう読むか!』と感銘を受けたのを憶えていて、いつかは読み直してみようと思っていたのだ。

読み直すにあたって、敢えて上記のブログを見直さなかった。感想記事の細かい部分は忘れてしまっていたので、再度自分がこの【風の歌を聴け】を読んだ後、どんな感想を持つか検証してみたかったのだ。

ぼくは全部とは言わないが、村上春樹の小説には何かしらその物語が示唆するもの、テーマと言うのかな、を自分なりに感じることが多い。もちろん自分なりだから、作家本人が意図したものではないかもしれない。しかし、多分こういうことが言いたかったのではないかとか、こういう風に取れるのではないかというようなことを感じるのだ。

ところがこの【風の歌を聴け】にはそれが無かった。小説自体、文体も含めて凄く好感を持っているのだけれど、そのような感じを持てなかったので、手放しでこれは面白いという感覚を持てないでいた。

そして今回の再読後、やはり好感の持てる、そして気になる小説ではあるのだが、やはりこの小説が何を示唆しているのか?そのテーマを、たとえぼくなりにでも感じることができなかった。

そこで【風のまにまに号】の youthkeeさんのレヴューを読み直してみた。デレク・ハートフィールドなる作家が書いたとされる、本書の中の作中作とも言えるSF小説「火星の井戸」を取り上げられて、

このエピソードから導き出される本書の中での「風の歌」の意味合いとは、すなわち「情報」ということではないでしょうか?

そう仰っています。そして更に

思えばこの本は冒頭から「文章を書くこと」そして「情報を伝達すること」の困難さについて繰り返し言及されています。

確かにそうなんですよね。【情報】と言うのが大きなキーワードだと言うのはその通りではないかと、youthkeeさんのレヴューを読み直してみるとあらためて同意できます。この他にも youthkeeさんはもう一点重要なテーマがあると仰っていますが、興味の有る方は記事に飛んでチェックしてみてください。

ここからは youthkeeさんのレヴューを読んだ上でのぼくの独自解釈なのだが、【風の歌を聴け】というのは情報を読み解けというのでは無くて、幾千幾万という情報にだけに惑わされるのでは無く、最後には風の歌に耳を傾けるように、自分の心の声を聴いてみたらどうだろうと訴えているような気がするのだ。

本書を読んでテーマらしきものを感じることもできなかったのに、片腹痛いという感じなのだが、そのように読み解くと、何となくぼくが持っている村上春樹のイメージとかなり近づいてくるのだ。

確かに情報というのは大事なものである。しかし一方でその信憑性はとか、伝える方の意図はとか、色々と懐疑的になる面も拭えない。そんな時何が大事なんだろう?道筋が見えるかどうかは判らないが、風の歌に耳を傾けるように、自分の心の声を聴いてみる。決して馬鹿にできない方法ではあると思うのだが。

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